Usage Tips / 製品活用ガイド

■ シミュレーション機能によるデータ送信

2016年11月 8日

プロトコルアナライザーの最も基本的な使い方はモニターですが、ラインアイのプロトコルアナライザーに搭載されているもう一つの代表的な機能はシミュレーションです。シミュレーションは、アナライザーからデータを送信する機能です。

今回は、シミュレーション機能の基本的な使い方をご紹介いたします。これまでモニター機能しか使ったことのないお客様にお役立ていただければ幸いです。

 

どのような時にシミュレーション機能が使えるか?

例えば、ある通信機器が開発中でまだ現物がない時、その機器の通信仕様が決まっていれば、代わりにアナライザーを使って機器の通信動作をシミュレーションすることができます。通信相手との動作確認に役立ちます。

 

事例

ある機器の現物がないが、その機器の制御ソフトを開発しておりソフトの動作検証をしたい。機器はRS-485(半二重)の通信機能を持ち、値AとBの二つの値を計測している。

この事例を想定して、パソコンの制御ソフトとアナライザー LE-8200A(機器の代わり)との間で通信をしてみます。
LE-8200AのRS-530ポートに端子台LE-530TBを取り付け、RS-485ケーブルをUSB⇔RS-485変換器(SI-35USB-2)につなぎ、変換器をパソコンのUSBポートに接続します。パソコンとは仮想COMポートで通信します。

パソコン(制御ソフト)---<USB>--- USB⇔RS-485変換器 ------<RS-485>------ LE-8200A

 

LE-8200Aの半二重シミュレーションモードを使用すると、通常は同じ行にすべてのデータが表示されるRS-485半二重通信であっても、LE-8200Aが送信したデータと受け取ったデータがSDとRDの行に分けて表示されます。

 

MANUALシミュレーションとトリガー機能

今回は、一番基本的なシミュレーション機能「MANUALモード」とトリガー機能を組み合わせて動作確認を行います。MANUALモードでは、あらかじめアナライザーのデータテーブルに入力したデータ列を送信することができます。パソコンの制御ソフトからコマンド(値の照会)を送ると、LE-8200A(以下、アナライザー)からレスポンス(値の回答)が返って来るという動作を、トリガー機能を組み合わせて再現してみます。

ホスト
パソコン(制御ソフト)
(RS-485マスター)
デバイス
LE-8200A(機器)
(RS-485スレーブ)
コマンド→
←レスポンス
:   本稿ではデータをASCIIで表記していますが、BCC部分のみ16進数表記としています。(アナライザーのデータテーブル画面も同様です)

 

 

上記のコマンドがパソコンのソフトから送られてくるものとします。
アナライザーからレスポンスを返すため、あらかじめレスポンスのデータ列をデータテーブルに入力しておきます。今回の例では、すべてのデータ列は開始文字「#」から始まり、終端文字「%」の後に誤り検出のためのBCC(ブロックチェックコード)が付きます。


テーブル00に「値A回答」のレスポンスを入力

ラインアイのアナライザーでは、データテーブルに開始文字から終端文字までを入力した後に、「BCC/FCC付加」のボタン操作を行なうと、自動でBCCを計算して付加することができます。

BCCを計算、検出するため、あらかじめ通信条件設定でBCCの種類と開始文字「#」23h、終端文字「%」25hを設定しておきます。

 

パソコンからのコマンドに対してデータテーブルに入力したレスポンスを返すため、トリガーを設定しておきます。

トリガー0のFactor(トリガー条件)をCharacter(データ列)に設定して、コマンド「値A照会」のデータ列を16進数で入力します。
Action(トリガー動作)で、先ほどデータテーブルに入力した「値A回答」を送信するように設定します。
Responseの項で、トリガー反応後、Actionが起こるまでの時間を設定することもできます。
同様に、トリガー1は「値B照会」に対して「値B回答」を送信するように設定します。

 

以上の設定を行なった上で、アナライザーをRUNしてパソコンからコマンドを送ると、「値A照会」に対して「値A回答」を送信し「値B照会」に対して「値B回答」を送信するという手順をテストすることができます。


(アナライザーの画面に表示されている「GG」はBCCに問題がない(Good)ことを示しています)

 

アナライザーから送信するデータ列は自由に編集できますので、BCCに誤りがあるレスポンスや、想定外の値を含むレスポンスを送信して、制御ソフトの挙動を確認することができます。

また、トリガーにも様々な使い方があります。以下の例では、パソコンから送られてきたコマンドにエラーがあった時に、アナライザーからエラーを示す特定のレスポンスを送信しています。

Factor(トリガー条件)はErrorを選択します。パリティエラー、フレーミングエラーなど各種エラーが設定できますが、今回はBCC/FCSエラーを設定しています。Action(トリガー動作)はデータテーブル02の「03ER」というデータ列を送信するように設定しています。

BCCに誤りのあるコマンドをアナライザーが受け取ると、エラーを示す「03ER」というデータ列を送信します。


(アナライザーの画面に表示されている「EE」はBCCエラーを示しています)

MANUALシミュレーションやトリガー機能は、LE-8200Aに限らずラインアイのRS-232C/422/485用アナライザーにすべて搭載されています。シミュレーション機能は他にも様々な種類があり、最上位機種であるLE-8200Aには合計7種類のシミュレーションモードが用意されています。

 

LEシリーズアナライザー製品比較